プログラム規定説

プログラム規定説とは、憲法の特定の人権規定に関して、形式的に人権として法文においては規定されていても、実質的には国の努力目標や政策的方針を規定したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではないとする考え方。

法律に補償に関する規定が欠けていている場合は、直接憲法29条3項を根拠にして損失補償請求権が認められることがあるのに対して、生存権の場合は、憲法25条は個々の国民に対し具体的権利を付与したものではないことから、直接同条に基づき具体的な給付請求をすることはできない。

憲法29条

1、財産権は、これを侵してはならない。

2、財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

3、私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

憲法の一部の人権規定において、形式的に人権として法文に規定されていても、な規定は、国民に具体的な請求権を保障したものではなく、国の目標ないし政治的道徳的義務を定めたものであり、法律がこれを具体化した限度で国民は権利を取得するに過ぎないという考え方を説という。

説に関連する有名な判例としては、最大判昭和42年5月24日)、堀木訴訟(最大判昭和57年7月7日)が挙げられる。いずれの訴訟も裁判所は説を採用したと見られているが、一定の場合に憲法25条の裁判規範性を認めていることから、裁判所の採っている立場は純然たる説ではないとも言われている。なお、教育権についても、と学説上はされている。