私人相互間の基本的人権

憲法における人権保障の規定は、国または公共団体と個人との関係を規律するのみならずものであり私人相互間の関係についても当然に直接適用されるを直接規律することを予定するものではない
憲法19条(思想及び良心の自由は、これを侵してはならない)および14条(法の下の平等、貴族の禁止、栄典)は、国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係直接規律することを予定するものではない
私的支配関係においては、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、それが社会的に許容しうる限度を超えるときは、立法措置によってその是正を図ることが可能であるし、また、私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、私的自治の原則を尊重しながら、社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し、その間の適切な調整を図る方途も存する。三菱樹脂事件最大判昭和48年12月12日。

基本的人権の保障規定は、国または公共団体による公権力に対して個人の基本的な自由と平等を保障することを目的とした規定であって、私人相互間の関係について当然に適用されるものではない。

基本的人権の保障は、私人相互間の関係について当然に及ぶものではないが、私立大学と学生との人権に関する争訟においては、私立大学の教育機関としての実質的な公共的地位にかんがみて国家行為と同視(国家同視説)して、憲法が直接に適用されることはない

女子であることのみを理由として女子の定年年齢を男子より低く定める就業規則は、性別のみによる不合理な差別を行なうものであり、基本的人権の保障は、私人相互間の関係についても当然に及ぶものであることから、法の下の平等を定めた憲法14条1項民法90条の規定に反し、無効である。

憲法における人権保障の規定は、国または公共団体と個人との関係を規律するものであるが憲法上特別な規定がない限り、私人相互間の関係について、その効力は間接的に全く及ぶばない
無適用(無効力)説