日本の底力

長期の不況に喘いでいた日本ではあるが、特許出願の数は、相変わらず世界一である。先進10カ国の2002年の特許出願の合計は約82万件であるが、この内日本の特許出願数は何と39万件で、ほぼ、50%に当たる出願を行なっている。

アメリカは18万件で日本の半分以下に過ぎない。勿論、特許一件一件の内容、価値はアメリカは何といっても基本技術を有しているので、まだかなりの差があるが、日本が長期不況の中でこの数を維持していることは驚異である。

何より重要なのは日本の特許発明は一部の超エリートの研究者の発明だけでなく、一般従業員や工場現場からも発明が出されていることで、そのため数が多いのである。つまり、日本独特の企業全体を挙げて行なう改善運動の一環として特許発明がある。

そして、これは企業全体の労働者の質の改善、働くことへの意欲の向上、欠陥商品の少なさにつながっている。

アメリカに住まないとアメリカの一般労働者の質の悪さは理解できないかもしれない。日本の製品の質やサービスが良いのは、この様な労働者の意識、質の高さにある。アメリカには世界各国からエリート高級研究員が集まっているだけに、彼らの質の高さは当然に日本よりはるかに高いが、一般労働者の労働に対する意欲は低く、従って発明の数は少なく、製品の質も未だに悪い。

アメリカが色々な分野で世界に自主規制を要求し、産業を保護しているにも係らず、アメリカ製品の多くに見られるように質が向上しないのはそのためとも言える。

結果、アメリカの自動車産業は、壊滅した。

韓国のサムソンは携帯電話ではいまやフィンランドノキアに次ぐ大メーカーにのし上がっていますが、そのサムソン製ケータイに使われている部品の大半が日本製であることはあまり知られていない。

もちろん、ノキア、LG、モトローラなども同じく、ある程度の精密さが必要な部品には日本製を採用しており、日本の町工場の技術なくしてはケータイをつくることはできない。

ヒンジ部分、マナーモードの振動モーター、カメラ部分のオートフォーカス、メッキ、アンテナ、あるいは、躯体自体も、実は日本の町工場が大きなシェアを持つ。